季節を楽しむ七十二候について

2023年12月31日

七十二候とは、古代中国で考案された季節を表す方式のひとつで、二十四節気をさらに約5日ずつの3つに分けた期間のことです。各七十二候の名称は、気象の動きや動植物の変化を知らせる短文になっています。例えば、今日は「霜始降」（しもはじめてふる）という七十二候で、霜が降り始めることを意味します。

日本と中国の七十二候の比較表

七十二候は、日本でも江戸時代に入って渋川春海ら暦学者によって日本の気候風土に合うように改訂され、「本朝七十二候」が作成されました。現在では、1874年（明治7年）の「略本暦」に掲載された七十二候が主に使われています。俳句の季語には、中国の七十二候によるものも一部残っています。

七十二候は、春、夏、秋、冬の四つの季節に分けて、それぞれ18候ずつあります。以下に、七十二候の一覧を表にまとめました。表の左側は日本の七十二候で、右側は中国の七十二候です。日本と中国では、気候や自然の様子が異なるため、七十二候の名称や意味にも違いがあります。興味のある方は、両方の七十二候を比較してみてください。

二十四節気	候	略本暦（日本）	名称	意味	宣明暦（中国）	名称・意味
小満	初候	蚕起食桑	かいこおきてくわをはむ	蚕が桑を盛んに食べ始める	苦菜秀	苦菜（にがな）がよく茂る
	次候	紅花栄	べにばなさかう	紅花が盛んに咲く	靡草死	薺（なずな）など田に生える草が枯れる
	末候	麦秋至	むぎのときいたる	麦が熟し麦秋となる	小暑至	ようやく暑さが加わり始める

二十四節気	候	略本暦（日本）	名称	意味	宣明暦（中国）	名称・意味
芒種	初候	螳螂生	かまきりしょうず	螳螂が生まれ出る	螳螂生	螳螂が生まれ出る
	次候	腐草為蛍	くされたるくさほたるとなる	腐った草が蒸れ蛍になる	鵙始鳴	鵙が鳴き始める
	末候	梅子黄	うめのみきばむ	梅の実が黄ばんで熟す	反舌無声	反舌鳥が鳴かなくなる

二十四節気	候	略本暦（日本）	名称	意味	宣明暦（中国）	名称・意味
夏至	初候	乃東枯	なつかれくさかるる	夏枯草が枯れる	鹿角解	鹿が角を落とす
	次候	菖蒲華	あやめはなさく	あやめの花が咲く	蜩始鳴	蝉が鳴き始める
	末候	半夏生	はんげしょうず	烏柄杓が生える	半夏生	烏柄杓が生える

二十四節気	候	略本暦（日本）	名称	意味	宣明暦（中国）	名称・意味
小暑	初候	温風至	あつかぜいたる	暖い風が吹いて来る	温風至	暖い風が吹いて来る
	次候	蓮始開	はすはじめてひらく	蓮の花が開き始める	蟋蟀居壁	蟋蟀が壁で鳴く
	末候	鷹乃学習	たかすなわちわざをなす	鷹の幼鳥が飛ぶことを覚える	鷹乃学習	鷹の幼鳥が飛ぶことを覚える

二十四節気	候	略本暦（日本）	名称	意味	宣明暦（中国）	名称・意味
大暑	初候	桐始結花	きりはじめてはなをむすぶ	桐の花が (来年の)蕾をつける	腐草為蛍	腐った草が蒸れ蛍となる
	次候	土潤溽暑	つちうるおうてむしあつし	土が湿って蒸暑くなる	土潤溽暑	土が湿って蒸暑くなる
	末候	大雨時行	たいうときどきにふる	時として大雨が降る	大雨時行	時として大雨が降る

二十四節気	候	略本暦（日本）	名称	意味	宣明暦（中国）	名称・意味
立秋	初候	綿柎開	わたのはなしべひらく	綿を包む萼が開く	鷹乃祭鳥	鷹が捕らえた鳥を並べて食べる
	次候	天地始粛	てんちはじめてさむし	ようやく暑さが鎮まる	天地始粛	ようやく暑さが鎮まる
	末候	禾乃登	こくものすなわちみのる	稲が実る	禾乃登	稲が実る

二十四節気	候	略本暦（日本）	名称	意味	宣明暦（中国）	名称・意味
処暑	初候	綿柎開	わたのはなしべひらく	綿を包む萼が開く	鷹乃祭鳥	鷹が捕らえた鳥を並べて食べる
	次候	天地始粛	てんちはじめてさむし	ようやく暑さが鎮まる	天地始粛	ようやく暑さが鎮まる
	末候	禾乃登	こくものすなわちみのる	稲が実る	禾乃登	稲が実る

二十四節気	候	略本暦（日本）	名称	意味	宣明暦（中国）	名称・意味
白露	初候	草露白	くさのつゆしろし	草に降りた露が白く光る	鴻雁来	雁が飛来し始める
	次候	鶺鴒鳴	せきれいなく	鶺鴒が鳴き始める	玄鳥帰	燕が南へ帰って行く
	末候	玄鳥去	つばめさる	燕が南へ帰って行く	羣鳥養羞	多くの鳥が食べ物を蓄える

二十四節気	候	略本暦（日本）	名称	意味	宣明暦（中国）	名称・意味
秋分	初候	雷乃収声	かみなりすなわちこえをおさむ	雷が鳴り響かなくなる	雷乃収声	雷が鳴り響かなくなる
	次候	蟄虫坏戸	むしかくれてとをふさぐ	虫が土中に掘った穴をふさぐ	蟄虫坏戸	虫が土中に掘った穴をふさぐ
	末候	水始涸	みずはじめてかる	田畑の水を干し始める	水始涸	田畑の水を干し始める

二十四節気	候	略本暦（日本）	名称	意味	宣明暦（中国）	名称・意味
寒露	初候	鴻雁来	こうがんきたる	雁が飛来し始める	鴻雁来賓	雁が多数飛来して客人となる
	次候	菊花開	きくのはなひらく	菊の花が咲き始める	蟋蟀在戸	蟋蟀が戸口で鳴く
	末候	蟋蟀在戸	きりぎりすとにあり	蟋蟀が戸口で鳴く	水始涸	田畑の水を干し始める

二十四節気	候	略本暦（日本）	名称	意味	宣明暦（中国）	名称・意味
霜降	初候	霜始降	しもはじめてふる	霜が降り始める	豺乃祭獣	山犬が捕らえた獣を並べて食べる
	次候	霎時施	こさめときどきふる	小雨がしとしと降る	草木黄落	草木の葉が黄ばんで落ち始める
	末候	楓蔦黄	もみじつたきばむ	もみじや蔦が黄葉する	蟄虫咸俯	虫がみな穴に潜って動かなくなる

二十四節気	候	略本暦（日本）	名称	意味	宣明暦（中国）	名称・意味
立冬	初候	山茶始開	つばきはじめてひらく	山茶花が咲き始める	水始氷	水が凍り始める
	次候	地始凍	ちはじめてこおる	大地が凍り始める	地始凍	大地が凍り始める
	末候	金盞香	きんせんかさく	水仙の花が咲く	雉入大水為蜃	雉が海に入って大蛤になる

二十四節気	候	略本暦（日本）	名称	意味	宣明暦（中国）	名称・意味
小雪	初候	虹蔵不見	にじかくれてみえず	虹を見かけなくなる	虹蔵不見	虹を見かけなくなる
	次候	朔風払葉	きたかぜこのはをはらう	北風が木の葉を払い除ける	天気上騰地気下降	天地の寒暖が逆になる
	末候	橘始黄	たちばなはじめてきばむ	橘の実が黄色くなり始める	閉塞而成冬	天地の気が塞がって冬となる

二十四節気	候	略本暦（日本）	名称	意味	宣明暦（中国）	名称・意味
大雪	初候	閉塞成冬	そらさむくふゆとなる	天地の気が塞がって冬となる	鶡鴠不鳴	ミミキジが鳴かなくなる
	次候	熊蟄穴	くまあなにこもる	熊が冬眠のために穴に隠れる	虎始交	虎が交尾を始める
	末候	乃東生	なつかれくさしょうず	夏枯草が生える	荔挺出	レイテイ（ミカン科の常緑小高木）が芽を出す

二十四節気	候	略本暦（日本）	名称	意味	宣明暦（中国）	名称・意味
冬至	初候	麋角解	おおしかのつのおとる	麋の角が落ちる	蚯蚓結	蚯蚓が塊になる
	次候	雪下出麦	ゆきわたりてむぎいづる	雪の下から麦が出る	麋角解	麋の角が落ちる
	末候	蚯蚓結	みみずつむる	蚯蚓が塊になる	雪下出麦	雪の下から麦が出る

二十四節気	候	略本暦（日本）	名称	意味	宣明暦（中国）	名称・意味
小寒	初候	雪始ちらつく	ー	雪がちらつき始める	芹乃栄	セリがよく茂る
	次候	河始凍	かわはじめてこおる	川が凍り始める	鶏乳	鶏が卵を産み始める
	末候	鳥乃水凍	とりのみずこおる	鳥の水が凍る	征鴨離群	鴨が群れを離れて飛び去る

二十四節気	候	略本暦（日本）	名称	意味	宣明暦（中国）	名称・意味
大寒	初候	寒更甚	さむさいよいよます	寒さがますます厳しくなる	鵲始巣	カササギが巣を作り始める
	次候	鷹乃祭鳥	たかすなわちとりをおさむ	鷹が捕らえた鳥を並べて食べる	水泉動	水の源が動き始める
	末候	麋角折	おおしかのつのおる	麋の角が折れる	麋角折	麋の角が折れる